運転免許証の根拠法

日本の公道を運転するために必要な運転免許証は、法律・条約によって厳格に定められています。このページでは、運転免許証における根拠法等について解説いたします。 日本の公道を運転するための免許証は、以下の4種類があります。 1.公安委員会による運転免許証 2.ジュネーブ条約(1949)に基づく国際運転免許証 3.道路交通法で定められる外国運転免許証 4.日米地位協定に基づく運転免許証

1.公安委員会による運転免許証について

公安委員会による運転免許証については、道路交通法第84条1項によって定められています。
道路交通法 第84条1項 自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
また、道路交通法第95条により、公安委員会の運転免許証を携帯することが義務づけられています。
道路交通法 第95条 免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない。

2.ジュネーブ条約(1949)に基づく国際運転免許証

ジュネーブ条約(1949)に基づく国際運転免許証については、道路交通法第107条の2によって定められています。
道路交通法 第107条の2 道路交通に関する条約(以下「条約」という。)第二十四条第一項の運転免許証(第百七条の七第一項の国外運転免許証を除く。)で条約附属書九若しくは条約附属書十に定める様式に合致したもの(以下この条において「国際運転免許証」という。)又は自動車等の運転に関する本邦の域外にある国若しくは地域(国際運転免許証を発給していない国又は地域であって、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る上で我が国と同等の水準にあると認められる運転免許の制度を有している国又は地域として政令で定めるものに限る。)の行政庁若しくは権限のある機関の免許に係る運転免許証(日本語による翻訳文で政令で定める者が作成したものが添付されているものに限る。以下この条において「外国運転免許証」という。)を所持する者(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当する者を除く。)は、第六十四条第一項の規定にかかわらず、本邦に上陸(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)に基づき住民基本台帳に記録されている者が出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十条第一項の規定による出国の確認、同法第二十六条第一項の規定による再入国の許可(同法第二十六条の二第一項(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)第二十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定により出入国管理及び難民認定法第二十六条第一項の規定による再入国の許可を受けたものとみなされる場合を含む。)又は出入国管理及び難民認定法第六十一条の二の十二第一項の規定による難民旅行証明書の交付を受けて出国し、当該出国の日から三月に満たない期間内に再び本邦に上陸した場合における当該上陸を除く。第百十七条の二の二第一号において同じ。)をした日から起算して一年間、当該国際運転免許証又は外国運転免許証(以下「国際運転免許証等」という。)で運転することができることとされている自動車等を運転することができる。ただし、旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で、旅客自動車を運転し若しくは牽 引自動車によつて旅客用車両を牽 引して当該牽 引自動車を運転する場合、又は代行運転普通自動車を運転する場合は、この限りでない。
道路交通に関する条約は、ジュネーブ条約(1949)のことです。
ジュネーブ条約24条第1項 締約国は自国の領域への入国を許可された運転者で、付属書8に定める条件を満たしており、かつ、他の締約国若しくはその下部機構の権限のある当局又はその当局が正当に権限を与えた団体から、適正を有することを実証した上で、発給を受けた有効な運転免許証を所持するものに対し、付属書九及び付属書十に規定する種類の自動車でその運転免許証の発給の対象となっているものを、新たな試験を受けることなく、自国の道路において運転することを認めるものとする。
ジュネーブ条約付属書8 第24条に規定する条件に従って自動車を運転することができるための最低年齢は、18歳とする。もっとも、締約国又はその下部機構は、他の締約国が18歳未満の者に対して発給した2輪の自動車又は身体障碍者用車両のみに係る運転免許証を認めることができる。
つまり、国際運転免許証は、以下の要件を満たすことが求められます。 1.入国を許可された運転者であること(ジュネーブ条約第24条1項) 2.自動車を運転することができる最低年齢18歳を満たしていること(ジュネーブ条約付属書8) 3.他の締約国若しくはその下部機構の権限のある当局又はその当局が正当に権限を与えた団体から発給されていること(ジュネーブ条約第24条1項) 4.有効な国際免許証であること(ジュネーブ条約第24条1項) 5.ジュネーブ条約附属書9若しくはジュネーブ条約附属書10に定める様式に合致すること(道路交通法第107条の2) 6.本邦に上陸をした日から起算して1年間以内であること(道路交通法第107条の2) また、道路交通法第107条の3により、国際運転免許証を携帯することが義務づけられています。
道路交通法 第107条の3 国際運転免許証等を所持する者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る国際運転免許証等を携帯していなければならない。第九十五条第二項の規定は、この場合について準用する。
法令上では、運転者は、国際運転免許証を所持・携帯する必要はありますが、元になる自国の運転免許証の所持・携帯は必要ありません。ただし、次の外国運転免許証の場合は異なるので注意が必要です。 ジュネーブ条約の締約国についての扱いについては、少々複雑ですので、注意が必要です。 ジュネーブ条約の加盟国については、以下の通り、外務省 国際協力局 専門機関室から個別の回答を頂いております。
外務省 国際協力局 専門機関室 回答 ジュネーブ条約に関する事務を担う国連欧州経済委員会(UNECE)によると、同条約の適応を受けるのは、国連ホームページに公表されているリストに列挙されている締約国、及び、該当締約国が「自国が国際関係について責任を有する領域」として宣言(同条約28条1)した領域で、現在もそのような状態が継続しているものである。 同宣言を受けた領域は、国連ホームページにて公表されているリストに列挙されているが、同表には、現在では独立している国も含まれている。同宣言を受けた後に独立した国は、当然に同条約の締約国にならず、条約を継承する旨の文書又は同条約への加盟書を寄託しないかぎり、同条約の適応は受けない。
国際運転免許証が有効な発行国には、条約の締約国には、「自国が国際関係について責任を有する領域」として宣言した領域も含まれます(同条約28条1)。しかし、その後独立をした国は条約の継承又は加盟書を寄託していない国は対象外となります。 該当する領域が、「締約国の一部」なのか、「自国が国際関係について責任を有する領域として宣言した領域」なのか、「独立をして条約の加盟から外れているか」については、国連欧州経済委員会に個別に確認する必要があります。 有効な国際免許証の発行機関については、「締約国若しくはその下部機構の権限のある当局又はその当局が正当に権限を与えた団体」に限られています(条約約24条第1項)。しかしながら、「締約国」については、国連のホームページにて当時のリストが公開されておりますが、最新情報が公開されておりません。さらに、「その当局が正当に権限を与えた団体」については、国連、外務省、警察等を含めたどの公共機関からもリスト化されて公表されておりません。 国際運転免許書が有効な国及び発行機関のリスト化については、外務省及び警察庁へ既に依頼済みですが、確認に相応の時間がかかっており、公表までにはしばらく時間がかかるものと思われます。そのため、当サイトにおいては各国外務省・大使館・国際自動車連盟(FIA)等に個別に取材し収集した情報及び各国の利用者から収集した国際免許証等のデータを元に確認をしております。 なお、実際には日本国内では有効でない国際免許証であるにも関わらず、該当国の大使館等の公共機関において日本国内で有効であるとの案内がされている国もあるので、外国の公共機関の情報を鵜呑みにせず、個別に確認をする必要があります。

3.道路交通法で定められる外国運転免許証

外国運転免許証については、道路交通法第107条の2によって定められています。
道路交通法 第107条の2 道路交通に関する条約(以下「条約」という。)第二十四条第一項の運転免許証(第百七条の七第一項の国外運転免許証を除く。)で条約附属書九若しくは条約附属書十に定める様式に合致したもの(以下この条において「国際運転免許証」という。)又は自動車等の運転に関する本邦の域外にある国若しくは地域(国際運転免許証を発給していない国又は地域であって、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る上で我が国と同等の水準にあると認められる運転免許の制度を有している国又は地域として政令で定めるものに限る。)の行政庁若しくは権限のある機関の免許に係る運転免許証(日本語による翻訳文で政令で定める者が作成したものが添付されているものに限る。以下この条において「外国運転免許証」という。)を所持する者(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当する者を除く。)は、第六十四条第一項の規定にかかわらず、本邦に上陸(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)に基づき住民基本台帳に記録されている者が出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十条第一項の規定による出国の確認、同法第二十六条第一項の規定による再入国の許可(同法第二十六条の二第一項(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)第二十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定により出入国管理及び難民認定法第二十六条第一項の規定による再入国の許可を受けたものとみなされる場合を含む。)又は出入国管理及び難民認定法第六十一条の二の十二第一項の規定による難民旅行証明書の交付を受けて出国し、当該出国の日から三月に満たない期間内に再び本邦に上陸した場合における当該上陸を除く。第百十七条の二の二第一号において同じ。)をした日から起算して一年間、当該国際運転免許証又は外国運転免許証(以下「国際運転免許証等」という。)で運転することができることとされている自動車等を運転することができる。ただし、旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で、旅客自動車を運転し若しくは牽 引自動車によつて旅客用車両を牽 引して当該牽 引自動車を運転する場合、又は代行運転普通自動車を運転する場合は、この限りでない。
外国運転免許証は、以下の要件を満たすことが求められます。 1.自動車等の運転に関する本邦の域外にある国若しくは地域の行政庁若しくは権限のある機関の免許に係る運転免許証に日本語による翻訳文が添付されていること(道路交通法第107条の2) 2.国際運転免許証を発給していない国又は地域であって、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る上で我が国と同等の水準にあると認められる運転免許の制度を有している国又は地域として政令で定めれていること(道路交通法第107条の2) 3.日本語による翻訳文は、政令で定める者が作成すること(道路交通法第107条の2) 4.本邦に上陸をした日から起算して1年間以内であること(道路交通法第107条の2) また、道路交通法第107条の3により、国際運転免許証を携帯することが義務づけられています。
道路交通法 第百七条の三 国際運転免許証等を所持する者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る国際運転免許証等を携帯していなければならない。第九十五条第二項の規定は、この場合について準用する。

4.日米地位協定に基づく運転免許証

日米地位協定に基づく運転免許証については、道路交通法第107条の2によって定められています。
日米地位協定 第10条1項 日本国は、合衆国が合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対して発給した運転許可証若しくは運転免許証又は軍の運転許可証を、運転者試験又は手数料を課さないで、有効なものとして承認する。
日米地位協定に基づく運転免許証については、携帯が義務付けられておりません。